スッポン通信 vol.5


さて次作のコンセプトモデル「練馬変態クラブ」である
なんだぁ?それ?
知らんのか!あかんがな!
山上たつひこ「がきデカ」に登場するブリーフ1枚で突如ポーズをとりながら現れる3人組である
中学1年のときは「いじめられっ子」だった
というより教師により「いじめられっ子」に仕立てあげられたのだ
身体も小さく運動神経のない私は、やんちゃな男の子たちに遊ばれていた
プロレスの相手役をやらされたりしていた
だが技をかけている相手も私もいじめという意識はなかった
遊んでいたつもりだったし、軽口を叩きあう仲でもあった
だがしかし正義感の強い女の子が先生に訴えたのだ
「先生!柴田くんがいじめられています」
正義感の強い日教組の数学教師がすぐに開く学級会
「柴田くんがいじめられている問題について」
地獄のような時間だった
クラスメイトがそれぞれの正義感で、私がいじめられている事に意見を言うのだ
結論
「いじめはいけないと思います」
で、次の日から誰も私と喋らなくなった
中学2年になりクラスも変わり、ほっとしているとき衝撃的な漫画に出会う
「がきデカ」
当時のギャグ漫画にはなかった劇画調の画風、下品な動き、女性キャラのエロス、そして意味のないナンセンスな笑い
この後ナンセンスへの傾倒は筒井康隆、モンティ・パイソンへと続くのだが、ナンセンスの出会いは「がきデカ」だった
そのうちクラスの中に熱狂的な「がきデカ」好きがいることに気が付き、次第に喋るようになる
スポーツも勉強も出来ない、かといってクラスで笑いをとる人気者でもない中途半端なやつらだった
やがて友人となりグループを結成
「ねりへん」
もちろん敬愛している練馬変態クラブからとっている
グループの活動は主に、日教組で共産党員であった担任の音楽教師への反抗
(私はそのあと次第に左傾化するのだが、当時は共産党と日教組が大嫌いだった)
先生が歌わすソビエト連邦の歌、緑化事業の歌
(公立中学校なのにそんな歌を歌わされていたんだよ!ひどくない?)
「ピオネールは木を植える」
♪ポプラ ポプラ はやく伸びてくれ♪
を
♪チンゲ チンゲ はやく伸びてくれ♪
と歌ったり
授業中に意味もなく
「八丈島のきょん!」
と叫んだり
幼稚で稚拙で下品だったが楽しかった
人生が少しだけ好転していった
いわば「練馬変態クラブ」は私を救ってくれた恩師なのだ
同じクラスの人間なんて8割は全く気があわない人間で
2割だけ少し話ができて
ほんの稀にちゃんと気のあう友達が出来る
出来たら出来たでめっけものである
と、今となったらそう思う
そして中学3年
さらに衝撃的な漫画に出会う
いがらしゆみこ「キャンディ♡キャンディ」である
〈つづかない〉




