スッポン通信 vol.8

スッポン通信 vol.8

さて「モンティ・パイソン」である。

大学の演劇部に入部した時「君はどんな芝居がしたいかな?」と聞かれた際に、

「モンティ・パイソンみたいな芝居がしたいです」

と堂々と答え先輩にたくさんの??をいただいた。
その後、大学の演劇部でも酔族館でも「モンティ・パイソン」の要素はこそなと入れてきたが「モンティ・パイソンみたいな芝居」は出来ていない。
今回は旗降ろしでスッポン太郎としても最終公演となるため「モンティ・パイソン」の要素は今までより濃くしているが「モンティ・パイソンみたいな芝居」にはなっていない。

出来ないのである。

もしやるとしたら「劇団酔族館旗降ろし公演製作委員会」ではなく「スッポン太郎単独プロデュース公演」でそれに賛同した役者とスタッフを揃えてやらなくてはならない。(数年前に企画・脚色・演出は福田雄一で『モンティ・パイソンのSPAMALOT』が上演されている。とてもうらやましい)

それほどにコメディというには、色が濃く、あまりにも毒が強く、差別的だからである。

「モンティ・パイソン」はイギリスを代表するコメディグループ。グレアム・チャップマン、ジョン・クリーズ、テリー・ギリアム、エリック・アイドル、テリー・ジョーンズ、マイケル・ペイリンの6人で構成されるグループ。1969年から始まったBBCテレビ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』で爆発的な人気を得た。
日本では1976年から、深夜に『空飛ぶモンティ・パイソン』の吹替版が放送されている。オリジナル版を見ながら今野雄二やらが酒を飲みながらトークをする番組だった。
たしかタモリがテレビ出始めで、片目にアイパッチをつけて「四カ国マージャン」などの芸を披露するミニコーナーも挿入されていたように思う。
私が初めて見たのはその再放送かもしれない。面白かったが見てはいけないものを見たという気になった。
もし見るのなら第2シーズンの13話『女王陛下のモンティ・パイソン』を見てほしい。

最低で最高である。

「本日は女王陛下が御覧になる」と、ジョン・クリーズが正装して語り、うやうやしく始まる。イギリスの国歌が流れ、国章が映し出されるのだが…
しかし10秒後、いつものようにはだしの足でその国章を踏み潰すのである。
BBCといえば国営放送、つまり日本に置き換えるとNHKが君が代と日の丸でやるようなものである。
しかもその回は特にひどいスケッチ(コント)が繰り広げられる。

「生命保険コント~女王陛下がチャンネルを合わせる瞬間」
「重傷患者しごき」
「美しく青きドナウ~爆発バージョン」
「オバサンだらけの潜水艦」
「救命ボートにて(食人)」

ブラックすぎる差別ネタのオンパレードである。とくに最後の「葬儀屋」がひどい。
たとえばこんな感じ。(スッポンの記憶の中の抜粋)

《葬儀屋と葬儀を依頼する男の会話》
「お母さまは今どこです?」
「この袋の中ですが」
「見せていただけますか? おっ、すごく若く見えますね」
「ああ、そうですね」
「おい、フレッド」
「何だ?」
「食えるのが来たぞ」
「ええっ~~~」
「よっしゃ。オーブンの用意だ」
「ちょ、ちょっと待ってください。あなた方、僕の母親を食おうとしてるんですか?」
「……えっ?はい!でも生じゃないですよ。調理します」
「ええっ!」
「はい、フレンチフライやブロッコリーやセイヨウワサビのソースとローストしますから」
「ふむ、僕もちょっと腹が減ってきましたね」
「そりゃいい!」

あかん、製作委員会からは、
「お芝居を見に来てくれるお客様が気持ちよく見られるもの」
を書いて下さいって言われているのに…
とんでもないものを抜粋してしまった。

わ、忘れてください。

(製作委員会のお許しが出ればつづく)