メリケンじいさんの昔話第2回②

メリケンじいさんの昔話《第二回 酔族館は住職さんとお友達②》

(※登場人物は記憶が曖昧なので特定しない)
運転手 :「それで、すみのさん(メリケン小次郎)どこへ行くんです?」
メリケン:「そら舞台作るんやったら土地借りなアカンやろ。」
運転手 :「えっ!そっからですか?心当たりとか?」
メリケン:「心当たりは…ない事ないけど、ある訳でもないな。」
運転手 :「え~っ!」
メリケン:「土地借りるんやったら田舎やな。」
運転手 :「まあ…」
メリケン:「近い田舎ってどこや?」
運転手 :「ん~、能勢とか河内長野とかですかね。」
メリケン:「能勢か…能勢は田舎か?」
運転手 :「そら田舎ですよ。豊能郡能勢町ですから。」
メリケン:「郡か!響きがええな!」
運転手 :「ええですね!」(どこがやねん)
メリケン:「うん!いけそうな気がしてきた!能勢へ行こう!北や!北に向かおう!」

舞台を組むために集まった5,6人の劇団関係者は、誰一人能勢行きに反対する者はいない。(アホばっかり)

〝ここから能勢〟の標識を過ぎた。

運転手 :「能勢に入りましたけど、どうしましょ?」(きたっ!この当然の問いかけ!)
メリケン:「とりあえずガソリンでも入れよっか♪」(ちょっと楽し気に言ってみた)
運転手 :「あっ、そうですね。」(ホッ)
メリケン:「そう言えば、ガソリンスタンドは結構情報収集にええかもな。」(根拠なし)

当時はセルフ給油などなく、全て今で言うフルサービススタンドで、それなりに情報収集できる場所であった。私はダメ元でスタンドの兄ちゃんに事情を説明し、舞台を組み立てる場所を探している事を絶対的善人感を丸出しにしながら訴えた。

兄ちゃん:「あっ、それやったら○○寺の××住職に相談してみたら!」
(嘘っそでしょ!そんな奇跡ある?)

あった。
○○寺の××住職は、若者の芸術活動に異常に理解があり、想像を絶するほど上手く話は進んだ。

住職さん:「それで、どれ位の期間使いたいの?」
メリケン:「1か月ほど…」
住職さん:「そう、いいよ!がんばって!」

どんだけええ人やねん。

〈つづく〉