酔族館回想録 其之二

酔族館回想録 其之二

『マラソンランナー』という作品は、いつもは作演出をやっているスッポン太郎が主演を務め、当時の看板役者メリケン小次郎が作演出を務めた、酔族館の中では異色の作品です。

主演のスッポンさんが劇中でマラソンを完走した後にヒロイン二人とハグをするのですが「汗っかきのスッポンさんの事を女優陣が嫌がってたらしい」というエピソードや…
〝斧が刺さったカツラ〟をつけた役者がシリアスなシーンでカツラが取れてしまい、シリアスな空気じゃなくなった悲しいエピソードや…
初舞台の私(森のめぐみ)が側転をして登場しようとしたら、本番でテンションアゲアゲになった印藤晃一さんが目の前に立ちはだかり、側転を失敗してしまったエピソードも思い出されます。

(サンバのシーンでオレンジのスカートで上手下手を行き来しているのが私です)

そんなこんなの劇団酔族館での初舞台『マラソンランナー』でした。
あっそう言えばその時、チケットを大人買いしてくれた人が、今の夫になっています。

(筆者:森のめぐみ)

第9回公演 『マラソンランナー』
1992年8月 AI・HALL
作/演出 メリケン小次郎