PRACTIC★ DIA★Y〈2024.6.16〉

PRACTIC★ DIA★Y〈2024.6.16〉

今回の日記担当の中大路です。

さて、先月末に最終のキャスト発表が行われて以来の本稽古です。主に男性陣に配役変更がありまして、私もその例に漏れず変更となり、気持ち新たに稽古場に乗り込みました。
折しもその日は、宣伝用チラシと月末の挟み込み用チラシの受け渡しも兼ねていたので、第三弾のチラシを560部、あと小道具のハジキを2丁、打ち合わせ用の制作ファイルと台本をリュックに詰め、重力に逆らいながらの行軍でした。
稽古場でリュックからチラシと小道具を出し、荷物の重さに開放された瞬間の眩暈が、一瞬の内に私を過去の記憶に飛ばす。

それは、今から31年前の記憶…

あの時、客演で呼んでいただいたお芝居で使う小道具として渡された、リボルバーのモデルガン。

鈍い光を放つ、小振りながらも手応えを感じさせるそれは、それまで芝居で使う事の多かった、おもちゃ屋さんで手に入る所謂バンバン鉄砲とは一線を画す物であった。
使い方を、当時その劇団でアクション銃器指導として来てくれていた、現在親友のM氏に教わる。彼は、私の小さな手でも扱える様にその場で調整し「肌身離さず手に馴染むまで持っていて良いよ」と、高価な物であろうそれを預けてくれた。
それから暫くは、その言い付けと指導された所作の反復に努めて、お芝居の稽古には必ず持参していた。
その内に、公演間近で稽古がほぼ毎日に成るにつれ常に持ち歩く様になるのだが、ある日、日中の私(世を偲ぶ仮の姿である会社員)が長崎に日帰り出張する事となり、いつも新幹線移動しかしない私も飛行機で移動する事になった。

夜は芝居の稽古。

長崎の日帰りは中々の強行軍だが仕方あるまいと、先輩社員と共に国内線に乗り込もうとゲートを通過した瞬間、鳴り響くキンコン。

もう一度やり直してもキンコン。
俄かに周りがざわめき出し、職員さんが「ちょっと荷物を拝見」と私のリュックの中身を検める!

すると中からは鈍い光を解き放つs&w m19コンバットマグナム2.5インチ!

しかもご丁寧にタオルに包んだ状態で出て来たものだから、即座に私は奥の部屋に連行され事情聴取
「かくかくしかじかでお芝居の稽古が夜に有りまして、そこに持って行かないといけないので入れていたんですが、うっかりしてましたあ」と涙目で説明すると、職員さんは呆れ顔で「あんたそんなにする程、そのお芝居は大事なんかな?仕事してるのに??とにかくこれは預かっておくから、帰って来たらココに取りに来て!今後そういう物はロッカーに預けなさい!大人なんやから!」と、最後は諭す様に言われてスゴスゴとソコを後にして、先に行った先輩社員に白い目で見られながら出張を何とかこなし、帰阪して空港職員さんの詰所で引き取り、ヘロヘロの思いで稽古場にたどり着いて事の次第を話したら、皆に大笑いと同時に呆れられた。
そんな過去が、今回の小道具をリュックから取り出した時、思い出されたのだ。

あの時も暑い日でした。

何の話や、稽古日記やろ?
つまり〝稽古は充実した内容で、配役変更になった方も久々参加のメンバーもちゃんと呼吸を合わせる事が出来て、決まってなかった段取りも付けられて、良い時間を過ごせた〟って事よ!

小道具?

大丈夫、電車には金属探知機は無いからね。

(記録:中大路雅俊)