メリケンじいさんの昔話《第二回 酔族館は住職さんとお友達③》


能勢○○寺の境内の一部を借りて舞台を作り終え、その後頻繁に稽古をするため能勢通いが始まった。
こんな危ない舞台ぶっつけ本番なんかしたら「死人が出るぞ」との館長の言葉は一概に間違いではなかった。
階段状の壮大な舞台とは言えば、階段落ちは必須。その段数は9段。楽勝。ところが実際に最上段から転がり出すと、3段目位から意識がなくなるほど回転のスピードがあがる。上下もわからないまま地面に叩きつけられる。
メリケン:「死ぬわ!」
そんなこんなで時は過ぎ、準備万端本番を迎える事となる。
岡野館長:「いや~、やっぱり事前に舞台組んで、稽古出来て良かったな。」
メリケン:「そうですね。」
岡野館長:「○○寺の××住職さんには、ホンマにお世話になったなあ。」
メリケン:「ホンマですね。でも、お寺の住職さんって結構チョロかったですね♪」
岡野館長:「お前そんなん言うとったらバチ当たるぞ!」
メリケン:「はっはっは、そうですね。」
本番当日リハーサル、音響担当よしお君、単管に頭をぶつけ数針縫うケガ。
本番1回目、舞台から飛び降りたメリケン小次郎、かかと骨折。稽古で習得した階段落ち、日の目を見ぬまま。
バチって当たります。
しかしこの時代、劇団醉族館は関西小劇場界に、確かに爪痕を残していたのだ。
第5回公演 『地下水道の月』
1990年8月 扇町ミュージアムスクエア
作/演出 スッポン太郎


