メリケンじいさんの昔話《第三回 酔族館黎明期の人々「全員アホ!」②》


このお話をする時、私は少し心が痛む。ナイスガイH口君への、ちょっとした嫉妬めいた部分を自身に感じてしまうのです。
食事が始まってすぐ、私と某後輩は朝のうんこの状態、色形、粘度、臭いなどの話を始めた。
某後輩「僕のめっちゃ臭いんですけど、大丈夫なもんですか?」
私「臭いのはしょうがないけど、臭過ぎんのはどっか悪いかもな」
某後輩「まじですか?病院行った方がええですか?」
他愛のない話を延々と続けている。
H口君は微動だにせず黙々とカレーを口に運ぶ。さすがナイスガイ。しかし口角の辺りが微妙にわなわなしているようにも見え、微かな動揺は隠せない様子。
落ちるな…(心の声)
畳みかけるように私と某後輩はうんこ話をエスカレートさせる。
H口君の顔が紅潮し始め、スプーンを握る手も震えだした。苛立ちだした。怒りに任せて食べ続ける為、カレーのルーが激しく飛び散る。
ここや!(心の声)
私「H口、お前、口の回り、うんこだらけやぞ!」
H口君「メリケンさん!これはカレーです。うんこちゃいます」
私「ごめん。そうや、カレーやな。すまんすまん」
続けて、
私「H口、お前、肛門の回り、カレーだらけやぞ!」
H口君「これは、く・ち!肛門ちゃいます」
私「そうか、口か。お前、怒って口とんがらすから肛門に見えたわ。でも今度はちゃんと、カレー言うたやろ」
H口君は怒りのあまりテーブルを叩いて立ち上がる。
H口君「メリケンさん!!(かなり大声)人がうんこ食ってる時にカレーの話やめてください」
落ちた!(心の声)
静かな口調で、
私「H口、それ逆やな!」
H口君「はっ…」
廻りを見渡す。
酔族館黎明期の人々「全員アホ!」だった。


